鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造といえば、まず火災に強いというのが頭に浮かぶでしょう。いわゆる、耐火性能が優れていることです。火事になると骨組みは崩壊しないで残ります。その点がマンションやオフィスビル、公共の建物など、大勢の人々が集まる大規模建築に適しています。
鉄筋コンクリート造は耐火性の優れていることが、外部からの延焼に対して威力を発揮します。しかし、内部は造作が完全に燃えてしまうことがあるのです。
鉄筋コンクリート造の次の利点は、遮音性が高いことです。交通騒音の激しい地域の住まいや音楽室などには適しています。
これらの優れた性能を有する鉄筋コンクリート造ですが、個人の住宅に利用するとなると、色々と欠点が出てきます。一番の問題点は湿気が多いことです。壁の中のコンクリートが完全に乾くのに数年要するといわれます。その間湿気を放出し続けるのです。
またコンクリートの熱伝導率は、木の約10倍も高いので、熱をどんどん逃がします。冬はこのため冷え込み、壁面の温度が下がりますので結露を生じ、壁を腐らせてしまいます。
鉄骨造
鉄骨造には、重量鉄骨造と軽量鉄骨造があります。重量鉄骨はビルなどの大規模な建築に使われるものです。個人の住宅に用いられるのは、鉄骨の厚みが3~5ミリと薄い軽量鉄骨プレハブ住宅が一般的です。
重量鉄骨造では少ない柱で大きい空間を可能にするので、高層建築にも向いています。しかし、柱や梁が大きいため、部屋の隅や天井に突出部が出来、部屋の使い方に不便を生じます。コストの面でも割高ですので、個人の住宅には利用しにくい建築工法です。
鉄骨造を個人の住宅に用いるとなると、次のような問題点があげられます。まず軽量鉄骨では音が響くことです。鉄が音を吸収せず、反射させるためです。木造の場合ですと、木が適当に吸収してくれます。
また軽量鉄骨プレハブ住宅は工事の合理化のため、外壁に軽い空気を含んだコンクリート版(ALC板と呼ばれる)やサイディングパネルを使用するので、遮音性に劣ります。
木造在来工法
木造在来工法の最大の利点は、増築や改造が簡単で家族の変化に対応できることです。プレハブやツーバイフォー工法ではこの点がネックで、対応できても予想以上にコストがかかったりします。
鉄骨造も増築には向いていませんし、鉄筋コンクリート造は、一体構造として建てられていますので、やはり増築は困難です。
この家庭状況の変化に合わせてリフォームできる木造在来工法は、人の住まいとして優れた建築といえますね。
木造では、自然材である無垢の木を使うと、その良さが増幅されます。優れた断熱性、触れても鉄のように冷たくなく暖かいし、湿気の調節をしてくれるので結露が発生しにくいのです。
最近の家では室内の仕上材にビニールクロスを使うのが主流になっていますが、これではせっかくの木の持つ湿気の調節作用を減殺してしまいますのでもったいないことです。
合板パネル住宅
合板パネル住宅とは、合板を構造用合板として用いるもので、ツーバイフォー住宅や木質系プレハブ住宅などがあります。
合板パネル住宅は、床を合板で敷き詰め、その上に壁になる合板を立てていきます。
特徴としては、室内の気密性が高いことです。しかし壁の中の空気も密閉されてしまうので、湿気に弱く、木が腐りやすく、家の寿命を縮ませることになります。この密閉された壁の中の空気は、室内外との温度差によって、壁内結露を発生させ、合板を腐食させてしまうこともあります。
その点メーカー側も、合板に穴を開けたりして通気を考えたりしているようですが、仕上げがビニールクロス張りがほとんどですので、通気の効果はそれほどでもないと思われます。
また合板は一面に接着剤が塗られているため、木として調湿作用にに欠けることです。その上室内が壁、天井とビニールクロスで仕上るのが主ですので、壁内結露のみならず、家全体が結露しやすいのです。